花崗閃緑岩製 ファラオ像

エジプト、新王国時代(紀元前1550〜1070年)

寸法:高さ9cm 

この小像は、エジプト新王国時代に制作された花崗閃緑岩製の彫刻で、玉座に座るファラオの姿を表しています。玉座には象形文字が彫刻されており、王権の象徴としての威厳を感じさせます。 顔立ちは簡潔かつ端正に整えられ、頭部にはファラオの象徴的な頭布「ネメス」がかぶせられています。首には装飾的なチェーンが見られ、王としての格式を表しています。身体の部分はやや摩耗し、下半身の衣装は判別しにくくなっていますが、目ははっきりと描写され、当時一般的であったアイペイントも再現されています。 使用されている花崗閃緑岩は非常に硬質で耐久性が高く、現代でも建築資材として使用されるほどです。古代エジプトの東部にはこの石の採石場が数多く存在し、当時からローマなどへも輸出されていました。たとえば、ローマのパンテオン神殿も、このエジプト産の花崗閃緑岩を使用して建てられたといわれています。

ファラオの目(ホルスの目)について: 

ファラオ像や古代エジプトの芸術で頻繁に登場するのが、「ホルスの目」として知られる強調された左目のモチーフです。これは古代エジプト宗教において、繁栄・癒し・保護の象徴とされてきました。神話によれば、天空神ホルスが宿敵セトと戦った際、片目を失ったものの、他の神々の癒しの力によって回復しました。その癒された目が持つ治癒の力で、ホルスは父オシリスを蘇らせたと伝えられています。 また、この目は月とも関連づけられ、満ち欠けする様が負傷と回復を繰り返す目に喩えられました。右目は太陽、左目は月とされることもあり、ホルスが天空そのものを象徴する存在であることを示しています。